◆今月の経営格言 豊臣秀吉(武将)

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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年
人事労務畑一筋で現場をはいずりまわった人事労務担当者が
中小企業経営者のために語る

発行者: 中川清徳  2023年1月24日 VOL.5478

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第一印象がその後の関係を左右する

続きは編集後記で

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◆今月の経営格言 豊臣秀吉(武将)
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◆今月の経営格言

「信長公は勇将なり、良将にあらず。剛の柔に克つことを
知り給ひて、柔の剛を制することを知られず」

豊臣秀吉(武将)

出所:「名将名君に学ぶ 上司の心得」
(PHP研究所)
――――――――――――――――――――――――――――
冒頭の言葉は、

「部下から恐れられるような態度を取っていては、良いリーダー
とはいえない。リーダーは、部下の心情、部下の視点に配慮
することが求められる」

ということを表しています。

秀吉は織田信長の下に仕え、こまやかな心配りや機転の良さに
よって、頭角を現したことで知られ、こうした秀吉の特性は次
のエピソードにも見られます。

ある日、秀吉は信長から、城の薪代がかさんでいるため、節約
を図るように命じられて、薪奉行を任されます。それを受け
て、秀吉は台所で使用する薪代や、暖房として必要な薪代など
について関係者に話を聞き、使用量を調べたところ適正量であり、
薪代がかさんでいるのにはほかの原因が考えられました。

秀吉は次に薪の流通経路に着目しました。すると、薪の生産地
から城に運び込まれる間に、多くの中間業者が存在し、マージン
を受け取っていることが明らかになったのです。また、一説に
よると、秀吉の前任の薪奉行は中間業者から賄賂を受け取って
いた可能性もあるようです。

そこで、秀吉は中間業者を通さない新たなルートで、薪を調達
することを思い付きます。そうすれば、前任の薪奉行が不正を
働いていたことは公になることはありません。秀吉は、領内の
村を訪ねて回り、薪として使用できる古い木を無料で城まで
運び、古い木と引き換えに苗木を渡すという交渉を取り付けま
した。この秀吉のやり方に信長は満足しました。また、「不正
が明るみに出ないように」という秀吉の配慮に対して、前任の
薪奉行も感謝したようです。

秀吉は「主である信長の命令にさえ応えられればよい」「自分
さえ手柄を立てられればよい」という上下関係の視点だけでは
なく、前任の薪奉行、領内の村など多くの関係者が満足する
ようにうまく利害を調整しています。

秀吉の成功には、信長に取り立てられて力をつけていったと
いう側面だけでなく、自ら周囲の人をうまく巻き込んで、盛り
立ててもらったという見方ができるのではないでしょうか。

秀吉は低い身分から後に天下人にまで出世を果たしますが、
こうした過程で秀吉は自分が臣下の立場で感じた、リーダー
に対する思いを、自らがリーダーになった際に生かしています。

例えば、冒頭の言葉は主君であった信長の非情な性格について
秀吉が言及したものの一部で、信長は恐れられこそすれ愛される
ことがなかったリーダーであり、こうした信長の性格が明智光秀
の裏切りを招いたと、冷静に分析しています。

また、信長に仕える以前の主であった松下之綱の下を、将来性が
無いと感じて去る際に、次のような言葉を残したとされています。

「およそ主人たる者、一年使ひ見て、役に立たぬ時は暇を遣はし、
家来としては、三年勤めて悪ししと知らば、暇を取ること、法なり」

秀吉は多くの臣下を抱える主となった後も、“臣下の心情”“臣下
の視点”に配慮して接したことで、竹中半兵衛、黒田官兵衛など、
多くの才能ある将を引き付けたのかもしれません。

リーダーはリーダーであり、部下とは同じ立場に立てるわけでは
ありません。リーダーに求められるのは、組織を健全に保つため、
律するべき部下を律し、引き上げるべき部下を引き上げるという
ことです。リーダーはミスを犯した部下を叱責しますが、その目
的はその部下に同じミスを犯さないように気付いてもらうためです。
一方、良い仕事をした部下を引き上げますが、その目的は、その
部下のやる気を高め、組織全体に良い影響を与えるためです。
決して、リーダーの個人的な好き嫌いによって、部下への処遇や
評価が変わるわけではありません。

こうしたリーダーの姿勢は、マネジメントの基本ですが、さらに
部下への配慮や気遣いというエッセンスを加えることで、その効果
を高めることができます。

部下は、リーダーと部下の置かれている立場が異なることを理解
しています。だからこそ、リーダーの部下への配慮や気遣いを感
じた部下は、そうしたリーダーの姿勢に応えたいと思い、一生懸命
に仕事に取り組んでくれるでしょう。

部下への配慮や気遣いとは、部下のためだけではなく、リーダーを
助け、結果的に組織の発展へとつながるものだといえるでしょう。

【本文脚注】
本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本
稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになって
いる情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当
性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即
した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的
と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありま
せん。

【経歴】
とよとみひでよし(1537~1598)。尾張国(現愛知県)生まれ。
織田信長の下に仕え、後に天下統一を実現。

【参考文献】
「名将名君に学ぶ 上司の心得」
(童門冬二、PHP研究所、2007年5月)
「戦国武将のひとこと」(鳴瀬速夫、丸善、1993年6月)
「戦国武将のマネジメント術 乱世を生き抜く」
(童門冬二、ダイヤモンド社、2011年3月)

(中川コメント)
本日の記事は弊社が有料会員となっている「中小企業福祉事業団」
が提供する情報を転載しました。

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編集後記
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第一印象がその後の関係を左右する

「第一印象は大事」とはよく言われる言葉です。
私たちは、周囲によい印象を持ってもらえるように、
身だしなみに気を配ったり、
笑顔を心がけたりします。第一印象の最も重要
な点は、それによって、相手や周囲の人々に対
するスキーマができてしまうことです。スキー
マとは、簡単に言えば、「○○さんって、こう
いう人」といった認識のようなものです。

例えば、第一印象が「バリバリ仕事ができそ
うな聡明な人」だった人が仕事でミスをしたと
します。きっとあなたは「○○さんでもミスを
することがあるんだ」と意外に感じることでし
ょう。親近感を抱くこともあるかもしれません。

ところが、「軽くていいかげんそうな人」と
いう印象を持った人が同じようにミスをした
ら、「はら、やっぱり! そうなると思っていた」
と思うのではないでしょうか。嫌悪感を強くす
ることもあり得ます。

つまり、人は第一印象を引きずったまま、そ
の人を見てしまうのです。悪い印象を持たれた
状態でスタートした関係は、いつも色眼鏡で見
られているようなもの。何かと悪影孵を及ぱす
ことになります。

もちろん、この第一印象を変えていくことは
可能ですが、それにはかなりの時間がかかりま
す。ですから、新しい職場や部署でよい人間関
係を築きたいと思ったら、第_印象をよくして
おくに越したことはありません。
人間関係は第一印象でスタートする

(職場の心理学 齊藤 勇著 西東社刊より)

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